Daily Archives: 2017年3月1日

清く正しく

短大生の作文に「清く正しく生きたい」というのがあって、困りました。なんといってあげたらいいのか。「正しさ」なんて人それぞれで、だから世界が混乱しているのではないかな。みんな自分は正しい、て言い張ってるし、と書きました。
しばらくしたら松山善三さんがお亡くなりになって、「名もなく貧しく美しく」や、「典子は、いま」が作品として紹介されていました。「名もなく貧しく」は、ろうあの夫婦の話です。「典子」は、サリドマイドという薬禍障害の女性のドキュメンタリー。
どちらも、まだ障碍者が世間の偏見にさらされているときでしたから、そうしたなかで、全力で生きる人がいることは、衝撃でした。特に「典子」は、ご本人が生活をさらけ出していることに、とても心をうたれました。
いま思うと、どの作品にも「正しく」とか「清く」なんて使われていません。何が正しくて何が清いのか、それは誰にも判断できないことです。「美しく」と「清く」はちがいます。清さは、汚れのないことです。でも美しさは、汚いことからも生まれます。
貧しいから清いわけではなく、豊かだから汚れているわけでもない。人として生まれた以上、どんな状況でもベストを尽くす。それがどんなに尊いことか、そう、清く正しく、とは尊いことでしょうか。人が生きようとしている、そのこと自体でしょう。
言葉は、ほんとに弱いものです。弱者と言われる人の映像に生涯を掛けた松山善三さんは、ほんとに「正しいひと」でしたね。映画を、再び観る機会があることを祈ります。コチラ